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 インターネット名誉毀損・プライバシー侵害編
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田島正広弁護士  インターネットには、たくさんの情報が溢れています。でもその中で、自分の住所が掲載されていたり、嫌がらせをされていたりしたら・・・?
 今回は「ネットでの名誉毀損・プライバシー侵害」にかかわる法律問題について田島正広弁護士にお話をききました。
田島正広氏(弁護士・田島正広法律事務所)
 
       
   本日は、ネット上での名誉毀損やプライバシー侵害に関わる問題についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、私もMLや掲示板等で、ずいぶんヒドい言い方をしているなあというものは目にしますが、先生はどのような例をご存じでしょうか。先生のホームページにも掲示板がありますね?
 
  田島 私のホームページには簡単な法律に関係する質問や相談を受けている掲示板があるのですが、そこにも、会社名をあげて、A社はひどい会社である、というような書き込みをされる方がおられます。事情をお読みすると、気持ちは分からないではないのですが、それが真実だとしても一般に公開することで会社の名誉や経済的信用を毀損することになりかねません。
 ネットというのは非常に容易かつ広範に情報を伝達でき、しかもそれを匿名ですることができます。そのため、遵法意識も低いですし、誹謗中傷等もエスカレートする傾向があり、被害も一気に拡大する虞があります。ですから、そのあたりは、サイトを管理する側としても非常に注意はしています。
 一般に見られる事件としては、たとえば交際を断られた腹いせに掲示板に誹謗中傷を投稿するというようなケースはチラホラ耳にするところですね。ひどい例では、実名や住所、電話番号を書かれ、それでレイプを希望しますなどと書かれて、その次の日から訳の分からない人が家の前をうろうろした、というケースも報告されています。
 
   そういった問題があった場合には、先ずどのように対処したら良いでしょうか。  
  田島 何故そうなったのかが分からないことから始まることが多いと思いますので、取っ掛かりが必要ですね。どうも怪しい人がうろうろするとか、あるいは、何かネット上の掲示に基づくようなものと思われるようなおかしなメールが届くとか、そうなったときには、相手に尋ねてみて、何が行われているのかという事実を先ず確認する必要があります。その上で、警察にその話しを持ち込むとともに、民事的にも、例えば掲示板上の投稿そのものを削除させるような方向で接続業者に話をするのも一つの手だとは思いますね。ただし、これは投稿者の表現の自由を制限するものですから、業者の中には任意の削除には消極的で、裁判所の判断を待つというところもあります。こうなると記事の掲載禁止の仮処分を求める必要も出てきます。  
   とくに企業の場合はいかがでしょうか。中傷を受けた会社の対処例にはどのようなものがありますか。  
  田島 実例としては会社やケースによって様々ですね。中傷を受けたことに対して正式に抗議することが逆にヤブヘビになることもなくはないので、このあたりが名誉毀損等の一番難しいところだと思います。ですから、必ずしも強く抗議するところばかりではないですね。
 法的な対処法としては、まず当該ホームページや当該投稿記事の削除をサイト運営者や投稿者に求めた上で、相手が応じないようであればホスティング業者も含めて抗議します。それでも削除がなされない場合は、やむを得ず当該記事の削除を仮処分で求めた上、損害賠償、差止等の本案訴訟を検討すべきこととなるでしょう。
 
   そういった掲載を止めてくれとプロバイダに伝えたとしても、なかなか個人では対応してもらえないという話しも聞くのですが。  
  田島 掲示板管理者やホームページのホスティング業者は、単に場所を提供してそれでお終いということではありません。この点のリーディング・ケースとなったニフティ・サーブ事件では、シスオペにアップロードされた文章の常時監視と名誉毀損発言の未然停止並びに損害発生及び拡大を防止すべき一般的注意義務が認められ、その不作為による不法行為及びパソコン通信主宰者の使用者責任が肯定されました(東京地判平成9年5月26日)。したがって、当該ページにおいて名誉毀損の不法行為が行なわれていることを知り又は知り得ながらこれを放置するような場合、管理者やホスティング業者にも不法行為が成立する可能性は高いと言えます。
 こうした責任論を前提に、管理者などに警告を発していけば、交渉の進展の余地もあろうかと思います。弁護士名での内容証明文書での警告なども有用でしょう。
 
       
   警察に被害を届ける場合や、損害賠償請求していきたいといった時にはどのようなことに気をつけたら良いでしょうか。  
  田島 まず事実関係の立証ということが壁になると思います。そういう意味では前回も申し上げた通り、証拠の保存ということが、とにかくどんな場面でも必要になると思います。警察に被害を届ける場合も、言葉だけで説明したのではおそらく捜査はなかなか始まらないでしょう。実際にはこうなんだと、そのホームページをプリントするなりして持っていくということも必要だと思います。
 ところで、最近の重要な立証手段として事実実験の公正証書というものがあります。具体的には公証人の前で、インターネットに接続して、インターネット上にこういう内容の記事が、今存在していることを確認した、という内容で、公正証書を作成してもらうのです。これは、単に自分でプリントアウトするだけなのに比べてはるかに証明力があるものですから、こういった方法をおすすめしますね(ただ、この方法はまだそれほど浸透していないため、公証役場ごとに対応が異なる可能性があります)。
 なお、仮にこれが物理的に不可能であれば、弁護士に依頼して弁護士作成の報告書として提出することを検討することになるでしょうか。
 
   ところで、被害者にならないためには普段からどのようなことに気をつけていたら良いでしょうか。  
  田島 個人情報を本人に無断で売買するようなケースもけっこう報じられていますよね。そういう意味では、個人情報はむやみに公開しないように自分自身で注意していくことによって、ある程度防げるでしょう。
 それから、個人情報保護に関する法的措置ということでは、最近、個人情報保護条例の中でインターネットの利用者からプロバイダへの個人情報の流出防止を求める例も現れています。こういった法的措置をもっと検討していく必要はあろうかと思います。
 また、一般予防という意味で、こういう行為は犯罪になりうる行為であるということをサイトの側でもよく告知する必要はあると思います。
 ネット社会の成熟によって、却ってそういう犯罪が増えるようなことにはさせてはならないと思いますね。
 
   プロバイダに削除してもらうにしても、警察に届けるにしても、うまくいかない時は、一人で悩まず、弁護士に相談してみることがよさそうですね。  
  田島 公正公平な社会を築いていくためには、やはり違法な行為に対しては断固とした態度を取らなければいけません。その意味では、私たち弁護士がそのために一役立てるのであれば、ぜひ頑張りたいと思っています。具体的な解決としても、そういった違法行為をする人たちに法的責任を取らせるということは十分可能だと思いますので、一人で悩まずに先ずは弁護士に相談されることをおすすめします。
 それと、最後に一つ。私も関わっているのですが、現在、官僚、学者、弁護士、ネット・ベンチャー経営者を始めとする様々な業界の有志が集って、インターネット上の不法有害コンテンツ対策と電子商取引の監視を目的とするNPO(非営利特定)法人を立ち上げ中です。名称はシロガネ・サイバーポールという団体で、一般の方々からのネット上のトラブルに関するご相談を無料でお受けするものです。4月下旬にはホームページを立ち上げて活動を開始する予定で、ボランティアの弁護士も数多く参加しています。予定のURLは次の通りですので、こちらもご利用なされるとよいでしょう。
  http://www.scyberpol.org/
 
   本日はありがとうございました。  
     
       
  法律相談のコツ〜インターネット名誉毀損・プライバシー侵害編  
  むやみに個人情報を公開しないよう注意しましょう。  
  おかしな状況に気がついたら、まずは原因をさがしましょう。  
  問題となっているホームページ、メールを保管しておきましょう。  
  プロバイダに問題のページ等の削除を求め、被害をできるだけ抑えましょう。  
  公証人に出してもらえるホームページの内容と存在の公正証書は裁判上の証拠となりますので、利用してみましょう。  
  法的な解決は十分可能です。一人で悩まず、HPでの各弁護士情報や、弁護士会の法律相談を利用して、弁護士に相談してみましょう。  
       
 
田島正広氏(弁護士)プロフィール
田島正広法律事務所
〒102−0084
東京都千代田区二番町9−10タワー麹町6階
TEL:03−5215−7355 FAX:03−5215−7388
URL: 田島正広法律事務所
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