ジャーナル


法律分野のベンチャー企業支援
 〜企業が望むこと、弁護士ができること

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 近年、日本においてもベンチャービジネスの認知度があがり、とくにIT分野における早期の株式公開を狙うベンチャー企業はブームとさえいえるような様相を呈している。景気回復の一端を担うことを期待してか、政府の補助制度や、マザーズナスダックジャパンのようなベンチャー企業を対象とした市場の整備も進んできている。
 では、現在、法律分野におけるベンチャー企業支援の実態はどうなっているのだろうか?
 
 ベンチャービジネスに詳しいフランテック法律事務所の金井高志弁護士に伺ってみた。
「ベンチャー企業には、企業自体の経営者の問題、サポートする人の問題、マーケット(株式公開市場)の問題があります。サポートする人の問題の一つはお金に関して、例えばベンチャーキャピタルからの投資やファイナンスという意味のサポートなどがあり、法律分野のサポートはお金以外の人のサポートの問題です。
 現在、法律分野でベンチャー企業をサポートする人はというと、はっきりいっていない、でしょう。
 いないというのはつまり、ベンチャーキャピタルから投資をうけて、2、3年後の株式公開を目指して急成長するというような企業に関することを知っている人が少ないということです。これまでの中小企業についてのサポートをするということを知っている人はたくさんいますが、ベンチャー企業というものを理解してサポートする人が少ないということです。
 労働省通 産省でコンサルタントなどを使うときに補助金を出したりする制度はいくつかあるので、そういう意味ではある程度官庁のサポートというものはできてきています。ただ、実際に頼める弁護士はあまりいないでしょうね。」(参考:ベンチャー企業等支援ネットワーク−国の各種支援策を網羅している)

 サポートする人−弁護士の側の整備はまだまだ遅れているということだろうか。
 ベンチャー企業側は、自社のリーガルマネジメントについてどのような意識で対応し、どのようなサポートを望んでいるのだろうか?

 設立2期目のIT系ベンチャー企業テクノブラッドの柳社長は、
「設立した当初は、ほとんど法的問題もなく、弁護士の必要性も感じていませんでしたが、最近は、リーガルマネジメントの必要性を強く感じています。とくに著作権や特許に関してですね。ただ、私たちの事業では、システムの仕様書だけでもかなりの量 になり、企画その他、契約書まで含めると、膨大な量になります。それらのどこまでを弁護士に見てもらえるのか、また理解してもらえるのか、まだよくわかりません。
 そのほかでは、例えば、取引の相手方からこちらに不利な契約内容を提示され、なかなかこちらの意見が通 らない場合でも、弁護士のチェックが入っていることを明らかにすると、意外とすんなり決まったりということもありました。そういう面 でも、法律の専門家である弁護士の存在は大切ですね。」
 一方、IT系某中堅企業の法務担当者は、
「会社規模が大きくなってくると、会社の責任としてリーガルマネジメントの必要性がでてきますね。また、取引先が法務部を擁した大手企業となってくると、こちらもそれ相応の対応を迫られてきます。それでも、弁護士と顧問契約を交わしたのはわりと最近のことです。
 ベンチャー企業は法務部のアウトソーシングとして弁護士に頼んでいますので、経済性はもちろんですが、迅速性と専門性が必要になってきます。また、ベンチャー企業独特の問題点をいくつかあげると、急成長中の会社であること、事業内容がこれまでにない新規事業であること、また事業内容の変更が非常に多いということなどでしょう。
 こういった特徴を捉えつつ、こちらの業務フローを理解して相談を受けて下さる弁護士の方が必要となっています。」

 両社とも、現在の一番の懸案事項はビジネスモデル特許に関してである。しかし、弁護士、弁理士ともそれについて明確に答えられる人はまだいないようだという。社内で検討し、おそらく大丈夫だろうという見切り発車的な判断に任せるしかないのが現状のようである。
 また、現在の顧問弁護士は、知り合いであったり、メインバンクの紹介であったりとサポートする弁護士を捜すための情報源も限られている。さらに、一つの事務所に多くの企業の依頼が集中し、双方代理禁止規定との関係から、なかなか仕事をうけてもらえないということもあるそうだ。
 確かに、ベンチャー企業側のニーズは多くあるのだが、供給側の弁護士の対応が追いついていないというのが現状のようである。
 
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