最後に第三部であるが、中心的に議論されたのは、現在の司法修習制度と法科大学院での実務教育との関係についてであった。この点に関しては、法曹一元化を絶対と考える弁護士会は廃止することを前提として話を進めるべきという姿勢であるのに対して、「餅は餅屋」であり、一定分野では最も適切な教育を提供できるのはやはり研修制度であるという主張が以前、地裁判示である加藤新太郎氏からなされていた。この間に入って大学関係者は、第二部でもそうであったが、法科大学院で充実した実務教育の提供をするとして一見現在の研修制度を否定しながらも、やはり大学院での実務教育には限界があるので研修制度を何らかの形で残す必要性を指摘するものが大半と思われる。しかし法科大学院主体で現在の修習施設・人材を利用するのと、制度として残すのとではかなり違った結果
になると思われるため、どこまで弁護士会が本来の立場を保持できるかという点が注目される。また法廷実務の研修を必須とすることに対しては、経団連サイドから法廷弁護士としての能力までは経済界は必要としてないという指摘がなされた。この点に関しては、弁護士に対する実際のニーズが現在そして将来どのようなものになるかということとも関連して検討されるべきことであろう。
シンポジウムの冒頭の挨拶で中坊公平氏が、「司法制度改革は、入口から、出口までを検討する必要がある」という指摘をされた。確かに、法科大学院、司法試験、実務教育(修習制度)は相互に関連した問題であり、切り離して論じうる問題ではない。しかし、残された時間は長くない。各関係者が利害を越えて日本の法曹を建直す気構えで臨まなければ、これらの議論は議論で終わり、最終的にはアメリカ型ロースクールの二番煎じを接木して終わるという不幸な結果
になるのではないかという疑念が残った。 |