| 児童虐待を看過した行政との闘い −千葉恩寵園4年間の軌跡 |
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| 恩寵園事件の流れ |
| 情報を広く伝えていくことの大切さ、そのあり方 この「報道特捜プロジェクト」の影響は他にもある。なかなか千葉県に動きが見えず、進展しない状況の中で先細りになりかけていた市民運動に、新たな風が吹き込んだということだ。 「新しく来て下さった方たちというのが、また世代的にも新しい方たちでした。インターネットで支援のホームページを作って下さったりと、まだ20代のインターネットを活用できるようなタイプの若い方。またマスコミ関係の方でも、特にフリーの方などは自分のライフワークの一つというような位置づけで、リポートしつつ、運動もするといったように、集まってきて下さいました。 そういう情報化社会の代表のような市民が集まってくれたことが運動の新たな展開を迎えることにもなりました。典型的だったのは、署名運動など、それまでは一生懸命紙をコピーをして重たいものをどっと積み重ねて持っていっっていました。しかしそういった署名だと典型的な頭の文章があって、そこに名前しか書けないのですね。それが、インターネットだと一人一人が自分の思いを言葉で語って、その集約も一瞬にしてできます。これからは署名運動がホームページのE-mailや掲示板に変わるのだなと感じました。例えば、政府に対して、声を寄せるにしても、このやり方にすべきだということが本当に学べましたね。」 この恩寵園を支援するホームページ「がんばれ恩寵園の子どもたち」はぜひ多くの方にご覧いただきたいと思う。このページは、主観を入れず、資料により、施設内虐待の実体を浮かび上がらせることを考えて作成運営されてきた。例えば、これまでに報道された新聞記事などのマスコミ報道により事件の経過を紹介し、さらに住民訴訟、現在進行している損害賠償訴訟について、訴状、裁判資料、判決文を全文掲載している。掲示板にも多くの人々の意見が寄せられていた。また、千葉県の職員もこのホームページを見ており、県庁前のビラ配付の際には事前に知っていた職員が誘導してくれたという逸話もある。 今回の事件には、非常な閉鎖社会の中で起こったため、恩寵園の中にいる実際の関係者達が外の情報を一切知らないという問題もあった。例えば、当初内部批判をしていた職員が全てやめたあと新しく入ってきた職員達は、96年4月の事件を以前の職員達が園長を恨んで起こしたでっちあげだと聞かされていたという。ほぼ24時間を施設の中で過ごし、外部との接触がほとんどないという状況では無理もないことである。それがテレビでの報道を見て疑問を持ちはじめ、さらにホームページで生の裁判記録を見るにいたり、逆に子ども達を守るため立ち上がったのだ。 ちょうどその頃は山田弁護士が10日間戦争と呼ぶ、恩寵園の休園騒動の時であった。 「恩寵園が休園と言い出し、千葉県があっという間にそれを受け入れてしまった時は、これまでの4年間のうちで一番大きな敗北感、ほとんど諦めるような挫折感を感じた時でした。しかしそこで前の卒園生たちが、自分達で訴えかけたいと正々堂々と市民として運動として立ち上がってくれました。また職員さん達がインターネットのおかげで、中の子ども達を守るために立ち上がった。そうして内部からと外からとの動きが一致した時に、世論も巻き起こり、厚生省も千葉県へ指導をしてくれ、休園撤回という勝利を得ることができました。」 弁護士と市民グループを結び付けるもの この恩寵園の事件では山田弁護士は幸いかなり初期の頃から関わってこられたわけだが、通常子どもの人権問題に悩む市民たちは、なかなか力になってくれる、親身になってくれる弁護士と知り合うことはできないのではないだろうか。 そういった問題意識をもって活動している団体がある。「恩寵園の子どもたちを支える会」の中心ともなっていた「千葉こどもサポートネット(下欄参照)」では、千葉県内の子どもの人権問題に悩む親、県民といった小さなグループと、弁護士をつなぐといった活動もしている。弁護士のアドバイスが欲しいと困っている小さなグループがいたときに、サポートネットが彼等をサポートし、ボランティア的にこのネットワークに参加している弁護士に相談内容を伝えていく。支援したい弁護士となかなか弁護士を利用することができない市民とをつなぐ架け橋なのである。 山田弁護士はこういった団体に、国はもっと援助をしていくべきだと話す。これまでボランティアとして人権問題等を扱ってきた弁護士も、団体からある程度でも収入が得られるようになれば、より集中して打ち込むこともできるようになるし、さらに活動する弁護士の層も厚くなるだろう。また、行政の側も弁護士を利用していくことが必要だ。今回千葉県の対応がうやむやな態度をとり続けていたのは人権問題や、改善命令如何について、自分達だけでは法的に判断できなかったこともあるのではないかと思われるからだ。 様々な要因によって解決を迎えつつある恩寵園。そこには市民の力、報道の力、インターネットの力、弁護士の力があった。 現在は前園長、社会福祉法人恩寵園、千葉県に対する卒園生たちの損害賠償請求訴訟が始まっており、「がんばれ恩寵園の子どもたち」では傍聴が呼びかけられている。 また、厚生省や養護施設協議会などから今回の反省も含め、養護施設を監視する第三者機間設立の動きもある。 新たな一歩を踏み出した恩寵園をこれからも見つめ続けていきたいと思う。 |
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| 千葉こどもサポートネット概要 |
| 主な活動内容 1.情報交換、発信の場として「ネットワークニュース」を毎月発行する。 2.学習会・シンポジウムの開催 3.こどもの人権をまもるための行政への働きかけ 4.こどもの人権問題についての相談活動。必要な場合は地域の会や当ネット支援弁護士を紹介する。 事務局 月〜金 10:00〜18:00 TEL&FAX:043-421-3541 (世話人 戸田由紀子方) |