ジャーナル


インターネットデジタル著作権
 権利の保護とインターネットの繁栄
はじめに

ナップスターと音楽著作権
佐久間 篤夫(牧野法律事務所 弁護士)
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 米国では音楽ファイル交換ソフトのNapsterをめぐり、ソフトを開発提供したナップスター社と全米レコード工業会(Recording Industry Association of America, RIAA)との間で論争が繰り広げられている。RIAAは、ナップスター社は同社が開発したNapsterのユーザーによる著作権侵害行為を助長しているとして、著作権で保護された音楽ファイルを同社が運営する音楽ファイル交換サイトで交換することの停止を求める仮処分を米連邦カリフォルニア北部地方裁判所に申立て、7月26日同裁判所がこの申立に理由あるものとして、ナップスター社に音楽ファイル交換サービスの停止を命じた。ナップスター社は直ちに上訴し、米連邦第9巡回区控訴裁判所は7月28日に地方裁判所の命令の発効を延期する決定を下したため、この法律論争についての最終的な結論は未だ出されていない。
 米連邦地方裁判所は、今回の決定に関する意見書の中で、ナップスター社が主張した米国デジタルミレニアム著作権法第512条(a)のいわゆる「safe harbor条項」の適用を否定した。この「safe harbor条項」は、ユーザーが指定した地点間において、内容に何らの改変も加えずにユーザーが選択した情報を送信し、ルーティングし、またはデジタル・オンライン通信のための接続を行うサービス・プロバイダ(同法第512条(k)(1)(A))が、他者の要求に応じてネットワーク上のある場所から他の場所にデジタル情報を単に伝達する立場にあった場合には、(1)その送信行為が当該サービス・プロバイダ以外の者により開始されたこと、(2)デジタル情報が当該サービス・プロバイダによる選択の余地なく自動的に伝達または複製されること、(3)デジタル情報の受領者は当該サービス・プロバイダが決定しないこと、(4)生成される中間的コピーは、予定された受領者以外は通常アクセスできず、必要とされる合理的時間以上保持されないこと、(5)デジタル情報はその内容を修正されずに送信されること、という5条件を満たす場合には、著作権侵害の責任を問われないとするものである。
 ナップスター社は、上記のサービス・プロバイダに該当するとともに、Napsterを利用したデジタル情報の伝達は上記の5条件を満たしていると主張した。Napsterによるファイル交換は、ある音楽のMP3ファイルを入手したいユーザー(リクエストユーザー)がナップスター社のサーバーにアクセスし、提供するMP3ファイルのリストがサーバー上にある交換可能ファイルのデータベースにデータとして追加される一方、入手したい音楽の曲名や演奏家名でサーバー上のデータベースを検索し、その検索結果リストの中から入手したいMP3ファイルを選択してダウンロードを要求すると、ナップスター社のサーバーから、ダウンロード要求のあったMP3ファイルがある他のユーザー(ホストユーザー)のパソコンへのアクセス情報が提供され、ホストユーザーのパソコンから直接リクエストユーザーのパソコンにMP3ファイルがダウンロードされることで行われる。米連邦地裁は、「safe harbor条項」が適用されるには、デジタル情報がサービス・プロバイダ自身が管理運営するシステムを介して伝達されることが必要であるが、Napsterを利用した上記のようなファイル交換は、インターネットを介してなされるものとは言えても、ナップスター社のシステムを介して行われるものとは言えないとした。
 米連邦地裁の判断が支持されれば、音楽ファイル交換による著作権侵害行為の場を提供したとして、ナップスター社が法的責任を追及される可能性が出てくる。ただ、RIAAとナップスター社の争いは、Napsterを利用したユーザーによる直接的な著作権侵害行為の責任を追及する代わりに、そのような著作権侵害行為を可能としたソフトウェア開発者の責任を問題としているものである。Napsterのユーザーが無償でMP3形式の音楽ファイルを入手することは、ユーザーによる著作権侵害行為だとして損害賠償請求ができるとしても、ナップスター社のサーバー上に存在するユーザーに関する情報を利用して著作権侵害の責任を追及すべき相手を特定し、2000万人とも言われるユーザーを相手とする訴訟を提起するのは現実的ではないからである。Napsterはナップスター社が管理運営するサーバー上のデータベースで入手可能な音楽ファイルを検索するシステムとなっていることから、ナップスター社に対する法的責任追及の是非の議論がなされていると言えるが、ファイル交換のための情報を提供すべき特定のサーバーの存在が不要なGnutella(グヌーテラ)のようなファイル交換ソフトを利用したデジタル情報の交換になると、それが著作権侵害行為だとしても、その損害賠償責任を追及すべき相手を特定するのは極めて困難な問題となる。
 
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編集部参考資料
 
参照サイト
Napster

全米レコード工業会

Gnutella
 
参照条文
米国著作権法512条
Legal Information Institute
(社)著作権情報センター*和訳

はじめに

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