| インターネットデジタル著作権 権利の保護とインターネットの繁栄 |
||||
|
| デジタル・コンテンツと インターネットに関する著作権法の基礎知識 荒竹 純一(さくら共同法律事務所 弁護士)
1 はじめに インターネットの普及に加速度がついてきました。インターネット上ではさまざまなコンテンツが流通 するようになってきています。ところで、インターネットの世界において、ホームページを開設してコンテンツをアップロードしようとする人たち、つまりコンテンツ提供者の関心事は、アップロードした自己のコンテンツが法律上どのように保護されるのかというところにあるでしょう。また、コンテンツ利用者という立場では、インターネット上で流通 するコンテンツをどの範囲まで自由利用できるのかということが関心事になるでしょう。アナログの世界において他人の著作物を勝手に複製することは、著作権法という法律に違反するという程度の共通 認識は一般に存在していると思われます。ところが、その著作物がデジタル化され、デジタル・コンテンツがインターネット上で流通 を始めると、コンテンツは無限の宇宙に解き放たれて無主物となり、著作権は遠く及ばず、利用者は、これを自由に利用できるかのような錯覚に陥りがちです。 デジタル化されたコンテンツに対する著作権がインターネットの世界でどのように動き、働くのか、これがコンテンツの提供者と利用者が最初に学ばなければならない課題ということができます。 2 「複製権」と「公衆送信権」 著作権法は、著作物の具体的利用形態によりいろいろな種類の権利を定めていますが(支分権といいます)、インターネット上で特に重要な権利は、「複製権」と「公衆送信権」です。 「複製権」とは、著作物を有形的に再生する権利、簡単にいうと著作物のコピーを作成する権利であり、著作権の要となる権利です。この権利が著作権者に与えられているために、そのコンテンツを模倣したり、コピーを作ったりしたら、著作権者の権利を侵害することになるのです。 ホームページには、言語、美術、音楽、写真などのコンテンツが掲載されていますが、これらは大抵が著作権法上の著作物ですので、こうしたコンテンツをコピーして、自己のホームページに取り込むなどの行為は、著作権者の複製権を侵害するということになります。 次に、重要な権利は、「公衆送信権」です。これは、平成9年6月の著作権法の一部改正で認められた権利です。 まず、「公衆送信」とは、公衆によって受信される無線通信または有線電気通信の送信を行うことです(著作権法2条1項7の2号)。これには、「放送」、「有線放送」、「自動公衆送信」、「その他の公衆送信」の全てを含みます。(図1参照) そして、この中の「自動公衆送信」とは、インターネットのホームページなどを用いて、公衆からの求めに応じて自動的に行う送信(同法2条1項9の4号)のことをいい、いわゆる「インタラクテイブ送信」がこれに該当します。また、この「自動公衆送信」という概念には、「送信可能化」を含むとしています(同法23条l項)(図2参照)。この「送信可能化」とは、たとえば、WWW上のサーバーにアップロードして、パソコンの端末からアクセスできる状態にする権利ということです(同法2条1項9の5号)。 改正法は、著作権者に「公衆送信権」を与えました。ということは、著作権者は、自己の著作物を「放送」、「有線放送」する権利はもちろんのこと、「自動公衆送信」(インタラクティブ送信)する権利を専有しているのです。 したがって、自己のホームページを利用して、著作権者に無断でその著作物をインタラクティブ送信する行為は、著作権者の公衆送信権(送信可能化権)を侵害するということになります。 3 実演家・レコード製作者の権利 次に、音楽著作物 の場合は、著作隣接権の問題も考える必要があります。改正前においては、著作隣接権者といわれるアーティストやレコード製作者には、インタラクティブ送信に関する権利は、認められていませんでした(図2参照)。 改正法は、アーティストに送信可能化権を与える(新法92条の2、1項)とともに、アーティストの許諾を得て作成されたCDなどをインターネット上で利用する場合においても、アーティストの許諾を得ることが必要であるとしています。同様に、レコード製作者にも同じく送信可能化権を与えています(同法96条の2)。 したがって、CDを音源として利用して音楽をインターネットで配信するには、音楽の著作権者に加え、アーティストとレコード製作者の双方から許諾をもらう必要があることになります。 4 著作権法改正の意図 このように著作権法 は、著作権者の権利(著作隣接権者の権利を含む。)を創設・強化しましたが、これは、インターネット上で流通 するコンテンツが著しく容易にその権利を侵害されるという特徴をもつからです。 すなわち、インターネット上のコンテンツは、全てデジタル化されています。デジタル化されたコンテンツを複製することはいとも簡単です。その作業は、キーボードを数回叩くだけです。つまり、他人が創作したコンテンツのデッドコピーが著しく安く、また簡単にできてしまうのです。 さらにインターネット上においては、違法複製されたコンテンツを頒布することも容易です。この作業もキーボードを叩くだけの作業であり、頒布にかかる費用も安価です。 こうした行為は、著作権者に与えられるべき経済的利益を横取りするものであって、これを阻止する法的枠組みがない限り、コンテンツ提供者である著作権者はインターネット上にコンテンツをアップロードするはずもなく、その結果 、インターネットの繁栄もないことになります。 このような権利侵害を阻止して著作権者を保護するために、著作権法の改正が行われたのです。侵害者は、許諾を得ることなく複製物を作成した段階で、著作権者の複製権を侵害したことになることに加え、これがWWW上のサーバーにアップロードされた段階で、著作権者の送信可能化権を侵害したことになります。さらに、このサーバーに利用者から現実にアクセスがあれば、公衆送信権を侵害したことになるのです。 |
||||||
| 荒竹 純一(さくら共同法律事務所 弁護士) 〒102-0083 東京都千代田区麹町5丁目7番地 秀和紀尾井町TBRビル814号室
|
| 編集部参考資料 | ||||
| 参照条文 | ||||
| 著作権法2条1項7の2号 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通 信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。 同法2条1項9の4号 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。 同法2条1項9の5号 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
同法23条l項 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。 同法92条の2、1項 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。 同法96条の2 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。 |
| はじめに | 1 | 2 | 3 |