ジャーナル


ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー

(Q)
ネットを使った詐欺的、悪徳商法
身近にどんな手口があるのでしょうか?
(A)
最近、インターネットを使った詐欺的商法や悪質商法がニュースなどでも取り沙汰されることがあります。これらの手口は、今までの犯罪的商法と基本的に大差はなく、全貌を見えにくくさせ、被害者を効率よく増やすためにネットを悪用しているのです。
 
 
巧妙化する詐欺的商法
被害規模も巨大に

 もうかなり昔になりますが、純金商法で話題になった"豊田商事"という会社がありました。その商法は、お年寄りを中心に"地金"を売るかたちを取り、地金は会社で預かって運用するので、顧客は利息が得られるというふれこみでした。しかし実際は、自転車操業的に被害者から現金をだまし取り、それを元手にして"会社を動かす"というシステムだったのです。最期に豊田商事は破産し、トップが報道陣の目の前で刺殺されるという悲惨な結末を迎え('85年、豊田商事事件)、多くの顧客が大事な老後資金などを失う結果となりました。
 その後も似たような詐欺的商法が後を絶たず、被害者も続出しています。最近でも"エンジェルファンド事件"という大規模な詐欺的商法の被害が発覚しました。米国デラウェア州に本店を登記し、社長も外国人というベンチャーキャピタル会社『エンジェルファンドネットワークコーポレーション』が、年利16パーセント以上の高利を支払うベンチャー企業への融資を斡旋するというふれこみで、出資金の提供者を募集。しかし実際は、融資先の大半はペーパーカンパニーであり、ここに融資されたという資金はエンジェルファンド関係者が詐取していたのです。結果的に資金のほとんどは返済不能となり、エンジェルファンドは破産宣告。出資者は丸損です。
 同社はホームページでも顧客の勧誘広告を出し、融資先にはインターネット関係の実在の会社名も登場させ、いわばインターネットを詐欺の道具にした格好です。実態は外資系の会社でも何でもなく、これまでもいくつかの詐欺的商法に関わった日本人のメンバーが中心となって仕組まれた事件で、被害総額は100億円を超すと言われています。

悪質商法がインターネットを
悪用する時代に

 こういった事件が、はっきりと"詐欺"と言われずに、"詐欺的"商法と言われるのには訳があります。それは、大規模かつ組織的、システム的な詐欺になると、一部があたかも適法な仕組みで動いているように見せかけているからです。たとえば、自転車操業的に次々と新たな被害者からだまし取ったお金で前の被害者にお金を支払ったりして、一見容易には詐欺であることがわからないように巧妙な工夫をしているのです。さらに最近の詐欺的商法は、ますます全容が明確にならないよう、国境の壁を悪用したり、ネットの悪用によって巧妙化してきています。
 一方で、"マルチ商法"や"ネズミ講"などという、次々と被害者を拡大していくタイプの悪質商法・違法商法もインターネットを介して広がるケースが増えています。これらはいずれも、各会員が自分の傘下に多数の子会員、孫会員を勧誘することでお金が儲かるとしてふれこむものです。軽い気持ちで友人等を勧誘する人もいますが、現実には無限に会員を増やせるわけはなく、破綻して多くの友人、知人に迷惑をかける結果に終わる可能性が高いのです。それだけでなく、勧誘や運営には刑事罰が規定されており、友人を勧誘するだけでも刑罰を課されるのです。一例として『無限連鎖講の防止に関する法律』では、"無限連鎖講"──つまりネズミ講を「開設、又は運営した者は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」「業として(主たる職業、収入源として)加入勧誘をした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」「単に加入を勧誘した者も20万円以下の罰金」と刑罰を定めています。

消費者もネットを
活用して被害回避を

 マルチ商法やネズミ講などは、いずれも新しい悪徳商法というものではなく、これまでにもあった詐欺的・悪質商法がネット上にも拡大し、被害者を増やすための便利なツールとしてネットが悪用されつつあるのです。多数の人に、ほとんど費用をかけずメールを送ったり情報提供できるネットは、この手の商法を拡大するにはうってつけのツールです。被害者のほうも、電話や訪問による勧誘では慎重に対応しているにもかかわらず、ネット上ではわりと軽率に対応してしまう面も見られます。
 そもそも本当に儲かる話というのは、他人には伝えないのが普通です。突然、儲け話などのメールが届いたなら、まず違法、悪質商法だと疑ってみたほうがいいでしょう。そのうえで、この種の商法に関する情報をネットで調べるなどして慎重に行動し、被害を未然に回避するよう心がけましょう。

(日置雅晴法律事務所 弁護士 日置雅晴)
参考
国民生活センター
マルチ商法やネズミ講などの悪質商法について、おもな販売方法と特徴や問題点を取り上げて説明している。

日本消費者協会
同サイトの『情報コーナー』では、マルチ商法のほか、悪徳商法の手口がケース別に解説されている。
 
 
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