ジャーナル


ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー

(Q)
無断リンクは、違法になるの?
トップページ以外へのリンクやフレームリンクは?
(A)
リンク先に無断でリンクを張っても、違法ではない。トップページ以外のページへリンクを張るのは、問題になる可能性がなくもない。フレームリンクは、表示の仕方によっては、閲覧者からリンク先の記事内容につき発信者としての責任を問われたり、リンク先に対して著作者人格権・著作権侵害の責任を負わされるリスクがある。
 
 
単純リンクはウェブページの
紹介にすぎない

 リンクは、リンク元のページのHTMLテキスト(プログラム)に一定の印(タグ)をつけてリンク先ページのURLを書き込むことにより、リンク元ページの閲覧者が画面上でリンク表示部分をクリックすると、閲覧者のコンピュータがそのURLを読みとった上でリンク元との接続を切り、改めてリンク先ページに接続しなおすように設定したものだ。要するに、雑誌等で他人のページを紹介した場合なら閲覧者はそのURLを自分のコンピュータに打ち込んで接続するわけだが、リンクは画面の該当部分をクリックするだけで自動的にそのURLが入力され、閲覧者のコンピュータがそのページへの接続作業を始める仕組みにすぎない。つまり、リンクは、閲覧者が紹介されたURLを打ち込む手間を省くだけのことであり、リンク元がリンク先のページを取り込んで再送信しているわけではない。それにリンク先としても、ページを公開している以上、リンクを張って紹介してもらうのを歓迎するのが普通で、それが嫌ならパスワードをかけるべきだ。したがって、単純なリンクはなんら違法ではないというべきだろう。
 もっとも、リンクの際の紹介の仕方によっては違法の問題が生じる可能性があり、例えば「詐欺師のページのリンク集」というタイトルの下でリンクを張れば、名誉毀損等の問題になるだろう。だが、これも紹介文の表現が問題なのであって、無断リンク自体が違法になるわけではない。ただ、リンク先はどのような形で紹介されているかについて関心が強いだろうから、連絡してチェックの機会を与えるのがネチケットかもしれない(但し、エチケットの考え方は人様々であり、この場合にもそんな必要はないという意見も少なくない)。
 次に、トップページ以外のページへいきなりリンクを張ることは、原則として違法でないが、場合によって(殊にリンク先がトップページへのリンクを求めている場合)は、法律上の問題になる可能性もある。というのは、リンク先の発信者としては、閲覧者にトップページから順を追って見てもらう前提でサイトを作っていて、途中を省略して見られると、表現したい真意が伝わらないということもあるからだ。その場合には、著作者人格権のうちの同一性保持権(著作権法20条)侵害になる可能性がある。また、トップページにしか発信者の名前の表示がない場合には、氏名表示権(同法19条)の侵害になりうる。結局、トップページへリンクを張る方が無難だろう。

フレームリンクは
転載に当たる可能性がある

 リンク元のページが数個のフレームに分割され、そのうちのあるフレームの中にリンク先のページが表示され、そのフレームの中も含めた全体がリンク元のページの内容であるかのように見える形でリンクを張ることは、著作者人格権のうちの同一性保持権を侵害する疑いが強い。この場合、画面上では他のフレームと一体になって表示されるため、リンク先のページが本来とは違った見せ方になるからだ。ちなみに、アメリカのトータルニュース社が自社ページのフレームの中にリンク先の世界各国のメディア企業のニュース画面を表示させ、同一画面の別のフレームで自社の商標や独自の広告を表示したところ、リンク先のメディア企業から情報の不正目的使用や商標権の侵害等を理由に提訴され、和解によってフレーミングをとり止めた事案がある。
 また、閲覧者からみると、リンク先のページがリンク元のページの一部に取り込まれたような形で表示され、いわばリンク元ページの中にリンク先ページを転載した形になることもある。その場合、リンク元は、閲覧者に対し、リンク先の記事内容についても自己の記事の一部として責任を負わされるリスクを否定できない。
 さらに、フレームリンクが転載に当たる場合には、私は、公衆送信権(送信可能化権を含む)侵害(同法23条1項)になると考えている。もっとも、著作権法上、公表された著作物を公正な慣行に合致するしかたで、かつ、報道、批評、研究等の目的上正当な範囲内で引用して利用することは許される(同法32条1項)。しかし、引用は自分の著作物の中に他人の著作物の原則として一部を採録することであって、引用する側の著作物と引用される側の著作物とを明瞭に区別して認識でき、かつ、それらの著作物の間に引用する側が主、引用される側が従の関係がなければならないというのが判例(昭和55年3月28日最高裁判決)だ。フレームリンクが転載に当たる場合には、丸ごと全部の利用になり許された限度を越えるから、違法といわざるをえないと思う。

(弁護士 速水幹由 速水法律事務所)
 
 
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