| ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー |
| (Q) 新聞記事をウェブページへ転載しても 違法にならない方法があるってホント? |
| (A) 新聞記事も著作物です。そのため、著作権者の許諾を得ずに、記事をウェブページへ転載してしまうと、著作権侵害で損害賠償請求を受ける可能性があります。ただし、たんなる"引用"にすぎないと判断される場合は、著作権の侵害にはあたりません。 |
| 新聞のニュース記事は 著作物の扱いになるか 先般、ある企業から、自社の商品を紹介するウェブページにおいて、自社商品に関する新聞記事を転載してよいか、という相談を受けました。そこで、新聞記事をウェブページに転載する場合に生じる問題と、その問題を回避するための方法のそれぞれについて考えてみましょう。 まず、人事往来、死亡記事、火事、交通事故など、単に事実を伝える記事は、著作物に当たらず、自由に転載できます。しかし、解説記事はもちろん、一般のニュース記事であっても、取材した事実の取捨選択や背景説明、文章表現の選択などにおいて、記者の個性や新聞社の方針が反映されているのが普通です。したがって、ほとんどの新聞記事は"著作物"であり、著作権法の保護を受けることになります。そして新聞記事の多くは、新聞社の記者が職務上作成するものですから、その著作権は新聞社に帰属します。だから、新聞社の許諾を得ぬまま記事を第三者のウェブページに転載してしまうと、著作権(複製権、送信可能化権)侵害で、著作権者たる新聞社から損害賠償請求や差止請求を受ける恐れがあります。 なお、著作権法には、「私的使用のための複製は自由である」という規定があります。しかし、ウェブページへの新聞記事の転載がその規定に当てはまるかどうかを考えた場合、私的使用には該当しないといえるでしょう。なぜなら、ウェブページは、作者が見知らぬ不特定多数からのアクセスが可能であり、この点から、ウェブページへの記事の転載は、書籍や雑誌といった出版物への転載と同様だと考えられます。そのため、たとえウェブページに「営利を目的としない」「個人的に使用する目的」などの注意書きを挿入したとしても、新聞記事を転載することによって、著作権を侵害している事実は変わらないのです。 正当な範囲の"引用"なら 著作権侵害ではない もちろん、発信元の新聞社から記事転載の許諾を得ればよいのですが、いちいち許諾を得る手間を考えると現実的ではありません。では、どんな場合ならば、許諾なく転載できるのでしょうか。 自己の文章の中で新聞記事を"引用"するという場合は、"公正な慣行に合致"し、"正当な範囲"であれば、新聞社の許諾を要しません。具体的には、次の条件を満たすことが必要です。 まず、表記の方法として、新聞記事を「 」(カギかっこ)で括ったり、自己の文章と新聞記事との間に1行あけるなど、自己の文章と引用する記事とが明瞭に識別できるようにすることが必要です。また、「○年○月○日の□□新聞朝刊から引用」などの注意書きを挿入し、新聞記事の出所を明示することも必要です。 さらに、自己の文章が"主"で、引用する新聞記事が"従"という主従の関係にあることが必要です。つまり、自己の文章の補足説明、あるいは例証の提供などの付従的な目的のために、必要な範囲で新聞記事を転載するというような関係にあることが肝心なのです。たとえば"新聞記事を集めて編集した"、あるいは"新聞記事をまるごと転載した後に、自分の意見を付ける"といった利用方法だけでは、"引用"とは認められません。 要約引用での掲載は要注意 "見出し"だけでも著作権侵害に? 新聞記事をウェブページに転載する際は、原文のまま引用するよりも、新聞記事を要約して引用することのほうが多いと思われます。しかし、著作権者は、著作物を改変されない権利(同一性保持権)を有し、翻案する権利(翻案権)を専有します。したがって、新聞記事を要約してウェブページに引用する際は、別途、新聞社から要約方法についても許諾を得なければいけません。もっとも、新聞記事の趣旨を正確に反映するような要約の場合は、例外的に許諾なしでも転載が許容される可能性がないわけではありません。なお、単に新聞記事の存在を紹介する程度の、ごく簡略な文章を挿入する(抄録)に過ぎない場合は翻案に当たらず、著作権者の承諾は不要と考えられます。 では、新聞記事の本文ではなく、"見出し"のみの転載はどうでしょうか。見出しは、一般に創作的表現とはいえず、著作物とは考えられていません。もっとも、創意・工夫が込められたものや、ニュースに対する感情や評価を込めたタイプの見出しについては、それ自体が著作物と認められる余地があります。だから、見出しについては一概には、著作権侵害が問題にならないとは言い切れません。 記事の転載や引用の具体的な対応は、新聞社によって異なるため、多数の記事を扱う場合は慎重に取り組むべきです。 (弁護士 高村真人 阪口繁法律事務所) |
| ネットワーク上の著作権について |
| 日本新聞協会では、'97年11月に『ネットワーク上の著作権に関する協会見解』を発表しています。新聞記事のウェブページへの掲載に関する考え方や対応方法は、各新聞社とも基本的にこの見解に準じていると考えてよいでしょう。ただし、新聞社によって、あるいは掲載方法によって扱いが異なることがあります。したがって、特に多数の新聞記事を継続的に他のウェブページに転載するような場合は、発信元の新聞社と連絡をとり、その対応を確認した上で、弁護士等の専門家の意見を聞くなど、慎重に対処すべきです。 Pressnet 日本新聞協会 ネットワーク上の著作権に関する見解は、 http://www.pressnet.or.jp/ info/kenk19971100.htm から参照できる。 |
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