| ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー |
| (Q) ネットショップを開いていたら、海外から注文がきた! どうしたらいい? |
| (A) 海外との取引で何らかのトラブルが起きた場合、海外で裁判を起こされる可能性があることを念頭に置いておきましょう。必ずしも、損害賠償などの支払いに発展するとは限りませんが、後々のトラブルを避けるためには、あらかじめ商品の引渡場所を国内に限定するなど、対策をとっておきましょう。 |
| ウェブ上で自分の店の紹介や商品広告を掲載すれば、当然、世界中にその情報を発信することになります。それがインターネット取引の醍醐味でもあるわけですが、同時に、それだけリスクを負担することにもなります。 たとえば、アメリカ在住の人がたまたまそのサイトを見て興味をもち、商品を注文したとします。そして、その商品が届き、そこで何らかの問題があった場合に、アメリカで訴えられるということもあり得ない話ではないのです。 どこで裁判をすることになるか? 外国の裁判所で裁判手続きをするとなると、言葉の壁、手続きの違いや渡航費用など、さまざまな問題を抱え込むことになります。できれば避けたいと誰もが望むはずです。このような国際的な民事事件において、どの国の裁判所が裁判をなし得るかという問題(これを"国際裁判管轄"と言います)は、紛争の当事者にとって非常に重要な問題なのです。 現在のところ、国際裁判管轄について国際的に確立した準則はなく、各国が自国の裁判権の限界を独自に定めています。たとえば先ほどの例で、被害にあったアメリカ在住の人がアメリカの裁判所に訴えを提起した場合に、アメリカの裁判所が裁判をするか否かは、アメリカの法によって定められるのです。ちなみにアメリカでは、ネット上での国際的な紛争について、おおむね次のような基準に従い定めているようです。 まず、日本在住の者が、日本のサーバーを利用してウェブサイトを開設し、自分の店の紹介や商品広告をしたというだけでは(この場合、アメリカからもアクセスできますが)、アメリカの裁判所は自国の裁判管轄を認めません。しかし、その者がアメリカにサーバーを設置するなど、アメリカからのアクセスを容易にしたり、アメリカからのアクセスを積極的に促進するような勧誘をしたりしていると、自国の裁判管轄を認めます。 筆者の感覚では、アメリカはかなり広く裁判管轄を認めていると言えますが、どんな場合に自国の国際裁判管轄を認めるかは、それぞれの国の基準によって決まるので、アメリカよりもさらに広く自国の裁判管轄を認める国があっても何ら不思議ではありません。 外国での判決がそのまま執行されることはない ただ、当人の財産が日本にしかなく、また、将来外国に進出する予定もないのであれば、さほど心配する必要はありません。なぜなら、外国の判決がそのまま日本で執行されることはないからです。それには、日本の裁判所で改めて外国判決の執行判決を得る必要があるのです。 そのため、たとえば先の例で、アメリカで商品を購入した人がアメリカの裁判所で勝訴判決を得たとしても、その人が日本で執行判決の申し立てを行なうことは、まず考えられません。その判決で認められた額がよほど高額で、費用と手間をかけてでも日本で改めて執行判決を得る経済的メリットがあるなら別ですが。 また、仮に日本の裁判所に対して執行判決の申し立てがなされた場合でも、必ずしも常に執行判決が認められるわけではありません。たとえば、先に見たようにアメリカはかなり広く裁判管轄を認める傾向にありますが、日本の裁判所から見て、広く認めすぎと判断されれば、執行判決は認められません。また、アメリカのいわゆる懲罰的損害賠償については、日本の公序良俗に反するため、やはり執行判決は否定されています。 したがって、たとえ外国で裁判をおこされたとしても、そのまま放置しておくという選択肢もあるわけです。 外国で裁判を起こされないための対策 とはいえ、外国で裁判を起こされるリスクは減らしたいものです。そのためには以下のような対策が考えられます。特に、英語などの外国語表記のサイトを開設する場合は注意してください。まず、当該ウェブサイトの広告や商品などに関する紛争について、日本の裁判所を専属的管轄とする規定を当該外国語により、わかりやすい場所に明示しておきましょう。この場合、たんに日本の裁判所とするのではなく、たとえば"東京地方裁判所"というように特定の裁判所をはっきりと示しましょう。また、海外在住者との取引を積極的に望まない場合は、その旨を明示しておくべきです。 さらに、商品の引渡場所を日本の特定の場所に限定したり、注文をウェブサイトで受けずに、別途電子メールその他の通信手段を利用することによって外国からの注文を受けないようにするといった方法も考えられます。 (弁護士 高村真人 阪口繁法律事務所) |
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| 【執行判決】民事執行法第24条(外国裁判所の判決の執行判決)第3項によれば、「外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第118条各号に掲げる用件を具備しないときは、却下しなければならない」とある。民事訴訟法第118条各号とは、具体的にあげると、[1]法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。[2]敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼び出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたことまたはこれを受けなかったが応訴したこと。[3]判決の内容および訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。[4]相互の保証があること。 である。 【懲罰的損害賠償】アメリカのいくつかの州では、実際に生じた損害に対する賠償に加え、被告に対する制裁、見せしめとしての損害賠償を命ずることができる規定がある。だが、日本では、不法行為による損害賠償はあくまで被害者に生じた損害を填補することを目的としており、懲罰の目的時実損をこえる賠償を命ずることはできない。 |
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