| ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー |
| (Q) ネット販売で得た顧客情報を 第三者に売却することは違法? |
| (A) 現在、罰則等を定めた法律はありませんが、国会で『個人情報の保護に関する法律案』が審議されるなど、法律化の動きはあります。顧客の氏名、住所、メールアドレス、クレジットカード番号等の個人情報を収集する際に、顧客から明確な承諾を得ていない限り、法律上の責任を問われる可能性があります。 |
| 「ネット上で中国茶を販売する電子商店を開いています。最近、あるデータベース会社から顧客データを売却してほしいとの依頼を受けました。資金繰りも苦しいので売却しようかと思うのですが、何か法律上の問題があるでしょうか?」 こんな質問を受けました。今回はこの間題について考察してみましょう。 個人情報の保護に関する法律は 日本に存在しない!? 日本では、国及び地方公共団体等の行政部門が収集した個人情報については、『行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律』が1988年に制定されています。この法律は、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の敵性かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」(第一条)もので、たとえば「行政機関が個人情報の電子計算機処理又はせん孔業務その他の情報の入力のための準備作業若しくは磁気テープ等の保管を行うに当たっては、当該行政機関の長は、個人情報の漏えい、滅失、き損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」(第5条)といったことを定めています。 しかしその一方で、企萎寸の民間部門が収集した個人情報については、現在のところそれを保護する包括的な法律は制定されていません。民間部門では各業界内で自主的なガイドラインを定めて個人情報の保護を図っているのが実状です。 例としては、1997年に制定されたサイバービジネス協議会による一。サイバービジネスに係る個人情報の保護に関するガイドライン』が知られていますが、このようなガイドラインには法律のような強制力がありません。つまり、ガイドラインに違反しても刑罰が科されることはないのです。 他方、諸外国では、たとえばアメリカでは『1996年電気通信法。及び判例の集積により、またEUでは・個人データ処理に係る個人の保護及び当該データの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令』(Directive95/46/EC)等の包括的な立法が行なわれています。 立法間近な個人情報保護に関する法律 情報化社会が急速に進展していく状況下で、日本でも諸外国と同様に、民間部門も含めた個人情報保護のための包括的な立法が検討されるようになりました。それが先の国会でも審議されていた『個人情報の保護に関する法律(案)』です。 この法律案は全64条からなり、1980年に制定された経済協力開発機構(OECD)の。プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告。を参考に、個人情報の保護について、国及び地方公共団体等の行政部門だけでなく企薬等の民間部門を含めた包括的な規定を置いています。この法律案はまだ正式な法律とはなっていませんが、近い将来に国会で可決成立する見通しです。この法律案によれば、企業等が個人情報を収集する際には、その収集目的及び利用方法を本人に対して通知しなければならず、また、本人の同意なくして個人情報を第三者に提供することは原則として禁じられています。さらに、これらの規定に違反した場合には6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すとの罰則も定められています。 したがって、質問のような状況においては、顧客から同意を得ていない限り、顧客の個人情報をそのデータベース会社に売却することはやめるべきでしょう。 『個人情報の保護に関する法律(案)』はまだ正式な法律ではありませんが、もし顧客から民法上の不法行為責任を追及された場合、同法律案の規定が参考とされることが予想されます。また、もし仮に「個人情報を第三者に提供することはありません」と明示しておきながら、それを破って第三者に売却などすると、顧客から、個人情報が流出したことを理由に損害賠償請求をされる可能性があります(民法第709条)。 また、顧客から、自分の個人情報が流出する恐れがあるとして裁判所に対して営業の差止め請求をされる可能性があります。裁判所が顧客の申立てを受けて営業差止め命令を出した場合、電子商店の営業そのものができなくなってしまいます。裁判例も個人情報の保護を徐々に重視するようになっていますので、顧客の個人情報の保護には十分留意する必要があります。インターネットビジネスにおいても、実際の商売と同様に、"お客様第一主義"が大切というわけです。 (弁護士 石川耕治 神田橋法律事務所/ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所) |
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| 【サイバービジネスに係る個人情報の保護に関するガイドライン】 サイバービジネス協議会によるガイドライン。解説もある。 【個人情報の保護に関する法律案】 首相官邸のサイト内にある『IT政策』のページから全文を参照できる。 |
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