| ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー |
| (Q) 同窓生たちの卒業写真を 個人ぺージに掲載してもかまいませんか? |
| (A) 他人が撮影した卒業写真を無断でウェブページに掲載することは、撮影者との関係で著作権侵害、同窓生たちとの関係で肖像権侵害になる。また、写真にトリミングを施して掲載すると、著作者人格権侵害になる。さらに、同窓生の中に芸能人等の有名人がいるときは、パブリシティ権侵害の問題も生じうる。 |
| 著作物になりうる"写真" 著作権法は"写真"を著作物の例にあげており(10条1項8号)、写真も著作物になりうるとされている。"著作物"とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(2条1項1号)。 例えば"契約書式"は、契約書の草案にすぎず思想を表わしていないので、作成者がいかに契約条項の取捨選択を工夫しても著作物ではないとされている(昭和40年8月31日東京地裁判決)。だが、精神活動の表現でありさえすれば、必ずし高尚な政治思想や哲学、芸術観念を含んでいなくても、著作物となりうるのである。 例えば、コピー機によるフォトコピーのように機械的に自動撮影されたものは一創作性がないので著作物に当たらないといわれている。しかし、やはりここでも高い独創性が要求されるわけでなく、他人を模倣せずに自分で表現したものなら、"著作物"ということになる。 条文中に「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とあるのも、決して学問的価値や芸術性を必要とするという意味ではないのである。 したがって、人が普通に撮影した写真は著作物であり、プロの名作であろうと素人の駄作であろうとその著作者の権利は保護される。もっとも、著作物としての経済的価値は作品によって千差万別なので、その著作権を侵害した場合の損害賠償額もその価値によって大きく異なってくる。 サーバーに置くだけでも公衆送信権の侵害に 他人の著作物である写真をサイトに掲載する場合に最も問題になる著作権は、著作権者に無断で著作物を公衆送信することを禁止する権利である"公衆送信権"(23条1項)だ。 "公衆送信"というのは、公衆に直接受信させるために無線や有線で送信することであり(2条1項7の2号)、そのうち公衆からの求めに応じて白動的に行なうものを、"自動公衆送信"という(2条1項9の4号)。 要するに、インターネット上のサイトのように不特定の相手からアクセスを受けて白動的にデータを送信するのが、自動公衆送信だ。そして、自動公衆送信の場合については、他人が無断で著作物を送信可能化することを禁止できる権利も公衆送信権に含めて認められる(23条1項括弧書き)。 つまり、他人の著作物データをサイトのサーバーに置いただけで、たとえ誰からもアクセスされなくても著作権侵害になるのである。また、"公衆"には、相手が不特定の場合だけでなく特定かつ多数の場合をも含む(2条5項)とされているので、パスワードをかけて同窓生しかアクセスできないようにしたとしても、公衆送信権侵害になりうる。 したがって、今回の質間のような場合には、まずサイトにアップする前に卒業写真の著作権者(著作権が譲渡されていない限り、撮影者)にあたって許諾を得ておくことが必要だろう。なお、アップすることについての許諾を得ても、著作者(撮影者)に無断で写真にトリミング(切除)を施すと"同一性保持権"の侵害になるので、この点も気をつける必要がある。 肖像権とパブリシティ権 以上、写真の著作者(撮影者)との関係で見てきたが、もうひとつ、写真の被写体である同窓生との関係についても考える必要がある。 この場合に重要なのが、"肖像権"の問題だ。肖像権というのは、自分の肖像をみだりに撮影されたり描かれたり使用されたりしない権利であり、これを直接規定した法律はないが、人格権やプライバシー権の一種と考えられている。 さらに、被写体が芸能人等の場合には、パブリシティ権の問題が生じる。一般に顔を売るのがビジネスの芸能人等は肖像についてプライバシー保護の必要性は低いが、その半面で、肖像の利用に関する経済的利益保護の必要性が高いと考えられている(平成3年9月26日東京高裁おニャン子クラブ事件判決)。 もっとも、芸能活動の際の写真ではなく素顔の卒業写真については、プライバシー保護の必要性も高まることが考えられるうえ、さらに有名芸能人の私生活写真は経済的利用価値もあるだろうから、損害賠償額も高くなることが予想される。 いずれにせよ、著作権者や被写体の承諾を得ないで卒業写真をサイトにアップすることは避けるべきだろう。 (弁護士 速水幹由 速水法律事務所) |
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| 【著作権法で保護される権利】 財産権としての著作権と人格権としての著作者人格権とに大きく分かれている。 【著作権】 著作権には、著作権者に無断で著作物を複製したり、上演、演奏等することを禁止する権利である"複製権""上映権""演奏権"等が含まれる。 【著作者人格権】 著作者人格権には、未公表の著作物を公開するかどうかを著作者自身の判断で決める権利である"公表権"(18条1項)、著作物の原作品自体に、あるいは著作物を公表する際に、著作者名(実名、ペンネーム等の変名)を表示し、又は表示しないことを決定する権利である"氏名表示権"(19条1項)、著作物及びその題号につき、自己の意思に反して変更、切除その他の改編を受けない権利である。"同一性保持権"(20条1項)が含まれる。 【著作権の譲渡】 著作権は譲渡できる(31条1項)ので、著作者以外の者が著作権をもつこともあるが、 著作者人格権は譲渡できず、著作権が譲渡された後も著作者だけが持つ(59条) |
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