| ネットJ「くらしの法律相談」バックナンバー |
| (Q) "ネットJ・jp"というドメイン名は アスキーの部外者でも取得OK? |
| (A) 登録者と無関係の企業・商品名を冠したドメイン名の取得は、現実に可能ですが、商標権侵害で損害賠償を請求される可能性があります。もっとも最近話題の"日本語ドメイン"では、登録受け付け当初の一定期間に限り、実際に登録商標を有した者が優先的にドメイン名登録を認められるようになっています。 |
| 単にドメイン名を登録しただけ これでは違法とはいえない現状 従来、ドメイン名はアルファベット(英字)または数字しか使うことができませんでした。ところが、ドメイン名を管理する非営利組織"ICANN"がドメイン名に関する新たな方針を策定したことにより、日本語、中国語、アラビア語といった英字以外を用いた言語でもドメイン名の登録が可能になりました。日本では、社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が2000年10月10日に『汎用JPドメイン名導入に関する方針』を公表し、11月6日から日本語でのドメイン名登録の運用試験を開始。一般のインターネットユーザーによる日本語ドメイン名の登録の受け付けは、2001年2月22日から開始予定です(http://www.nic.ad.jp/dotjp/を参照)。 ところで、ドメイン名は特定のコンピューターを識別するための符合で、それ自体がホームページ等を開設している企業・商品の広告宣伝となったり、他の企業と商品とを識別する機能を有するものではありません。 たとえばアスキーとは無関係のAという人が、『アスキーネットJ』という名称の雑誌を出版するとなった場合は、同名の商標をすでに有するアスキーへの商標権侵害行為となりえます。しかし、"アスキーネットJ・jp"というドメイン名を取得してホームページを開設しただけでは、直ちに商標侵害行為にはなりえないということなのです。なぜなら、Aさんが"アスキーネットJ・jp"というドメイン名を取得してホームページを開設しただけでは、アスキーの『アスキーネットJ』という商標によって守られるべき利益、すなわち、アスキーと他社とを識別する機能、及び、アスキーが提供している商品と他社の商品とを識別する機能を侵害しているとは必ずしも言えないからです。ただし、もしAさんがそのホームページ上でアスキーが提供しているものと類似した商品やサービスを提供した場合(たとえば、コンピューター関係の情報提供サービスやコンピューター関係の雑誌や関連商品等を販売をした場合など)、そのとき初めてAさんの行為が『アスキーネットJ』という商標を侵害する可能性が出てくるのです。 徐々に確立されつつある ドメイン名不当占拠に対する規制 ドメイン名登録というインターネット空間上のルールと、商標法等のリアル空間上のルールの隙をつき、嫌がらせ目的や高額での転売目的で、既存の有名企業や有名人等の名前をドメイン名として登録する者を"サイバースクワッター(Cyber Squatter=サイバ[上の不法占拠者)"といいます。サイバー・スクワッターが関わる最近の紛争を挙げると、たとえば、"madonna・com"をめぐり、歌手のマドンナが世界知的所有権機関(WIPO)へ仲裁を求めたことが有名でしょう。また、フランスの女優であるイザベル・アジャーニやアメリカの歌手のシャーデーも、同様にWIPOで仲裁手続きをとりました。いずれの場合も、本人側に自己の名前をドメイン名として使用する権利が認められ、サイバースクワッター側が負けています。 こうしたサイバースクワッター問題が生ずる背景には、ドメイン名登録が基本的に"早い者勝ち"である、という事情があります。登録の際、登録申請をしているドメイン名の商標を、登録申請者が有しているか否かは考慮されないのです。 ドメイン名紛争の多発に伴い、JPNICは、2000年7月に『JPドメイン名紛争処理方針(略称DRP:Dispute Resolution Policy)を策定し、ドメイン名の不法占拠(サイバースクワッティング)を事後的に排除する制度を設けました。しかし、日本語ドメイン名の導入で、英字と数字しか使えなかったときに比べ、サイバースクワッティング被害がより深刻になることが予想されます。そこでJPNICは、日本語ドメイン名の導入に際し、登録受け付けの当初一定期間に限り、すでに登録商標を有する者が優先的にドメイン名を登録できるような優遇措置を講じています。 サイバースクワッティングに対する規制は徐々に整備されてきており、商標法等との整合性も図られつつあります。ドメイン名を登録する正当な理由なく、または、商標権を有する者から正式な許可を得ずに有名企業の社名、商品名等をドメイン名として用いることは、ドメイン名の登録ルールに違反します。そして商標法等の法令に違反する行為となり、損害賠償責任等を追及される可能性もあるので、十分な配慮が必要です。 (弁護士 石川耕治 神田橋法律事務所/ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所) |
| ICANN |
| "Internet Corporation for Assigned Names and Numbers"の略で、一般的に"アイキャン"と呼ばれる。".com"".net"".org"といったドメイン名などの標準化や割り当てを行なう民間の非営利組織。 |
| 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター(英略JPNIC) |
| 一般的に"ジェイ・ピー・ニック"と呼ばれる。 日本国内で登録される".co.jp"をはじめとした".jp"ドメイン"などを割り当てる組織。世界各地、各国には、JPNICのような"NIC"組織が配置されている。 |
| 世界知的所有権機関(WIPO) |
| 特許や商標権、文学や美術作品などの著作権といった"知的所有権"の保護を推進する国連の専門機関。WIPOの仲裁センターにおいて、知的所有権に関する紛争の裁定が下されるが、最近ではドメインの不法占拠についての事例を扱うことも増えている。 |
| JPドメイン名紛争処理方針 |
| 商標などの所有者、権利者の申し立てに基づき、不法占拠されている"jp"ドメインについて、取消しまたは移転を可能にしようとする制度。2000年10月より実施されている。 |
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